これから冬の季節ですが、紫外線には気を抜けません。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関は、発癌リスクが特に高いものとして、煙草やアスベスト、X線、太陽光などを上げます。昨夏には、日焼けマシン(タンニングマシン)を追加しました。皮膚癌や眼球の色素細胞にできる癌のリスクが高まるとしています。
ただ、日本セーフティ・タンニング協会は、「日本人のような黄色人種に、紫外線への耐性が低い白色人種のデータが当てはまるとは言い難い」と反論。同協会の長岐俊彦顧問は、「長時間使えば、火傷などのリスクが上がるのは当然。長くても30分程度、次は1日おいて、という使い方を利用者も知って欲しい」と話します。
食べ物に癌を抑える効果があるかどうかを、科学的に調べようという試みも進められています。厚生労働省の研究班(主任研究者、住吉義光・元四国がんセンター病棟部長)は、キノコ類の健康食品に癌を抑制する力があるか調べた臨床試験の結果を纏めました。
四国がんセンターや北海道大、京都大学病院など7施設で実施。早期の前立腺癌で、直ぐ治療を始める必要がない患者74人(平均年齢73.5歳)に、1日4.5g、6ヶ月間、キノコの抽出物から作った食品「AHCC」を食べ続けてもらいました。癌の進行度の指標となる前立腺特異抗原(PSA)でみると、薬と同様の効果があったのは74人の内1人だけ。4ヶ月後にPSAが54%下がったと言います。
また、参加した患者のデータを平均すると、通常右肩上がりに上がっていくPSA値は、ほぼ横這いでした。住吉さんは、「AHCCに抗癌剤のような効果は無い事が分かった。ただ病気の進行が穏やかになる可能性は示唆されるので、更なる検討が必要だ」と話します。この結果は、盛岡市で4月27日から開かれる日本泌尿器科学会で発表されました。
大阪大の伊藤壽記教授(生体機能補完医学)も、化学療法を続けている約50人の癌患者にAHCCを摂取してもらい、抗癌剤の副作用が軽減するかを調べています。
伊藤教授は、「患者は少しでも生活の質を上げたいと考えている。国には、玉石混合の機能性食品を一つ一つきっちり調べ、安全性や有効性を検証する体制の整備が望まれる」と指摘します。