癌予防・検診 - 科学的根拠、健康食品の効果不明

癌を予防する為にどんな事に気を付けて生活をすれば良いのでしょうか。癌を防ぐ効果を謳う食品なども出回る中、臨床研究などの科学的な根拠に基づいているかどうかで見分ける必要があります。

「この食品は、癌予防に効くんでしょうか」。こんな質問を、埼玉県を中心に活動する「がん患者会シャローム」代表の植村めぐみさんは、患者や家族等から何度も受けます。その度に、「科学的な根拠はあるものなんですか?」と同じ質問を返します。

癌予防を謳う様々なサプリメント(補助食品)があります。通常の癌治療以外の健康食品や民間療法は、補完代替療法と言われます。

植村さんは、10年前に癌の治療を受け、現在も再発を防ぐ為に薬を飲み続けています。以前は、癌の再発防止に効果があると聞き、アガリクスや漢方薬などを毎月4万~5万円程買っていました。「患者自身も、何かをしなければいけないという気持ちになる」と、植村さんは振り返ります。そんな気持ちを主治医が抑えてくれました。「癌の進行を抑えたり、再発を防いだりという効果が科学的に証明された健康食品は無いんです」

厚生労働省研究班は、昨年10月、生活習慣と癌予防法について研究成果を纏めました。日本人を対象にした数万から十数万人規模の疫学調査です。

「先ず煙草を止める事」と国立がん研究センターの津金昌一郎がん予防・検診研究センター部長は言います。

喫煙は、肺癌、胃癌、食道癌の発症リスクを確実に上昇させ、肝癌や膵臓癌でもほぼ確実。喫煙者の発癌リスクは、吸わない人に比べて男性で1.6倍、女性で1.3倍高まります。特に肺癌へのリスクは高く、男性で4.4倍、女性は2.8倍に上昇します。癌で死亡した日本人の20~30%は、喫煙が原因とされます。

飲酒もリスクを高めます。大腸癌や食道癌、乳癌など。飲酒量が増えるに従い、リスクは増加していきます。

しかし、一定量を超えなければ心筋梗塞や脳梗塞など、他の病気のリスクを下げる効果があると言います。飲む場合、1日当たり日本酒1合、ビール大瓶1本、焼酎は1合の3分の2、ワインはボトルの3分の1程に。癌予防の為に気を付ける事として、国立がん研究センターは6項目を挙げています。

癌予防の効果を謳う健康食品などを使ってみたい。

そんな時は、「情報を鵜呑みにしない心掛けが必要」と、埼玉医科大の大野智講師は指摘します。例えば、使った人の体験談や専門家のコメントだけで効果をアピールしているものは、信頼性に欠けます。実験データを提示していても、マウスや細胞での実験だけでは科学的根拠としては不十分です。

様々な食品の効果や危険情報などを纏めている国立健康・栄養研究所のサイトも参考になります。

 

国立がん研究センターの
「日本人のためのがん予防法」
喫煙 煙草は吸わない
他人の煙草の煙を出来るだけ避ける
飲酒 飲むなら、節度のある飲酒をする
食事 食事は偏らずバランス良く
食塩の摂取は最小限に
野菜不足、果物不足は避ける
加工肉や赤肉(牛・豚・羊など)は摂り過ぎない
飲食物を熱い状態で摂らない
身体活動 日常生活を活動的に過ごす
体形 成人期での体重を適正な範囲に維持
(太り過ぎない、痩せ過ぎない)
感染 肝炎ウイルス感染の有無を知り、
感染している場合はその治療の措置を取る


[朝日新聞]