久留米大などが実施した妊娠能力を温存する治療法の研究では、安全性などを考え、対象条件を定めた。

 ・「内膜異型増殖症」か「分化度が高い類内膜腺癌」
 ・Ⅰa期相当の進行度
 ・将来の出産が可能な年齢 40歳未満
 ・高度な肥満が無い BMI35以下
 ・血栓症を起こしたことが無い

など。

各地の病院が今後、温存療法をする対象となる患者を決める上で、参考にされると見られる。


研究に参加した主な施設名は、日本臨床腫瘍研究グループ・JCOGのWebサイトの「婦人科腫瘍グループ」のページを参照。


[朝日新聞]

子宮体癌の治療

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子宮体癌の治療の柱は開腹手術で、早期段階でも子宮と卵巣を一緒に摘出することが多く、転移を防ぐために骨盤内にあるリンパ節を取り除くのが標準的です。場合によっては、骨盤より上の腎臓近くにある「傍大動脈リンパ節」まで取る事もあります。

しかし、リンパ節を取り除いても生存期間が延びるかどうかは、はっきりしていません。

リンパ節を取って調べれば、癌の広がりを特定できその後の治療に役立ちますが、一方でリンパ液の流れが滞り「リンパ浮腫」を引き起こす可能性もあります。


学会の指針では

 ・骨盤リンパ節を取らなくて良いのは「癌細胞の分化の度合いが高く(悪性度が比較的低く)、筋層に広まっていない」場合
 ・傍大動脈リンパ節を取らなくて良いのは「癌が筋層の2分の1以下」

などの条件を満たした場合に限定する。

これが、今の日本での標準的な考え方です。

患者の増加が著しい「子宮体癌」は、胎児が育つ子宮内膜にできる癌で、女性ホルモンとの関係が深い。なかでもエストロゲンが多くてプロゲステロンが少ない状態が続くと、子宮体癌になり易いと言われています。

「肥満」や「閉経時期が遅い」、「出産経験が無い」、などは発症リスクが高く、「月経が不規則」な人も要注意です。

患者は閉経した50歳代以降に多いのですが、若くても月経が不規則で、生理周期と関係の無い出血があったら、婦人科を受診することが大切です。出血がきっかけで、子宮体癌が見つかった場合、多くは子宮体部にとどまる「Ⅰa期~Ⅰc期」の段階で、治癒も期待できるようです。

・子宮体癌のⅠ期:

 Ⅰa期.癌が内膜にとどまる

 Ⅰb期.筋層の1/2以内

 Ⅰc期.筋層の1/2を超えている

子宮頸癌の病期

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子宮頸癌の進行度と癌の広がり
  広がり 進行度
0期 頸部の粘膜にとどまる  
1期 頸部にとどまるが
粘膜を越えて筋層に入り込む
1a期 深さが5mm以内
1b期 深さが5mm超
1b1期 病巣が4cm以内
1b2期 病巣が4cm超
2期 頸部を越えて
子宮外に少し広がっている
2a期 膣壁まで広がっているが
両側から子宮を支える靭帯が集まった
「子宮傍組織」までは広がっていない
2b期 「子宮傍組織」まで広がっている
3期 膣や子宮外に大きく広がっている  
4期 膀胱や直腸に広がるか
遠隔に転移している
 


[朝日新聞]

手術後の生活の質(=後遺症が少ない)を高める治療法を選ぶには、早期発見できるかどうかが非常に重要となります。しかし日本では、早期発見の鍵となる子宮頸癌検診の受診率が低いそうです。

欧米の大半が6割を超えているのに、2007年の日本の検診受診率は23.7%だったとか。(自治体の検診で、年間可能人数が限られるなどの欠点も指摘されていますが)

更に、欧米では、ウイルス感染の有無を調べる「HPV検査」もするように学会が推奨しているようですが、日本の検診では、頸部の細胞を取って調べる「細胞診」のみで、2割程の見落としがあるそうです。

ただ、子宮頸癌はHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)感染が主な原因とされ、女性の6~8割が50歳までに感染する一般的な性感染症で、多くのウイルスは自然消滅するようですが、感染が持続すると癌に進行する恐れがあります。

予防ワクチンを性交渉未経験の10代前半に接種すれば、HPV感染を防ぐことが可能で、世界の約百ヶ国で承認されています。
日本でも、早ければ今年中にも承認の見込みのようです。

乳癌に次いで患者数が多いのが「子宮頸癌」。20~30歳代の若い人達に増えているようです。

癌を早期発見できれば、その後の生存率が高まるだけでなく、後遺症の少ない治療法を選ぶことも可能となりまが、早期発見を見逃せば、子宮や卵巣、リンパ節などを取り除く「広汎全子宮摘出術」を受ける事を余儀なくされます。

2006年度の日本産婦人科学会報告では、癌の進行度が「1b1期」で90.1%、「1b2期」で87.2%、「2a期」で68.2%が手術中心の治療法でした。

欧米では「1b~2a」期の場合、手術と放射線の治療成績は同程度であるとして同列に説明される事が多いが、日本では手術を進められる事が多いようです。

増加している20~30代の患者では、進行度が「0期や1a期」などの早期に限れば、将来の妊娠可能性を残す為、頸部の一部を切除するに留めて子宮を温存する「円錐切除術」の治療法が関心を集めています。


手術の後遺症:

 ・目眩や耳鳴り
 ・排尿や排便障害
 ・リンパ浮腫による足のむくみ

など

「マンモサイト」と呼ばれる小線源のバルーンを乳房に入れ、内部照射する放射線治療は、1日2回、5日間の通院で済みます。

マンモサイトは、FDA(米食品医薬品局)で承認されており、約5万人の米国人患者が利用しているようです。
日本では未承認で、健康保険適用外のため、治療費約80万円は自己負担となります。

乳房温存手術後に必要な放射線治療で、1回当たりの放射線量を増やし、治療を3~5日で終える「APBI(加速乳房部分照射法)」という方式が広まりつつあります。

摘出部分から離れた部位の再発リスクが放射線を当てても当てなくても、ほぼ変わらないのであれば乳房全体に放射線を当てずに、摘出した部分に集中して当てるのがAPBIという考え方です。

手術と同時、又は術後に、直径約2㎜のプラスチックチューブを5~15本程度、癌を摘出した部位を中心に乳房に刺し、そのチューブに金属線で繋がれた小線源(直径1㎜長さ5㎜程の放射性物質イリジウム)を通し、装置で移動させながら放射線を部分照射します。

6グレイの放射線を1日2回、各10分程の治療で、3日間で終わります。治療中は、入院してチューブは刺したままにしておき、6回の照射が終わった後に抜き取ります。

健康保険が効き、入院費用などを含めても、全乳房照射とほぼ同額の自己負担となるようです。

現在の乳癌手術では、癌部分のみを摘出する「乳房温存手術」が半数以上を占めていますが、癌部分を切除しても、周囲に癌細胞が残り再発する可能性があります。

その為、乳房全体に1日1回、2グレイの放射線を計25回程度当てる「全乳房照射」が標準治療となっており、摘出した癌部分周辺での再発リスクは、3分の1に下がっています。

しかし、術後に5週間の放射線治療が必要となり、通院を嫌う患者が温存手術が可能なのに全摘手術を選ぶ場合が少なからずあるようです。


注)摘出部分から離れた部位の再発リスクは、放射線治療をしても、しなくても、ほぼ変わらない。

卵巣癌治療では、初回の化学療法を終えてから半年以内に再発すれば、使用した抗癌剤は効果が無かったとされ、別の抗癌剤を探さなければなりません。

再発までに半年以上あれば、以前の抗癌剤は有効とされ、再発時も同じ薬剤を使用することが多いですが、使用し続けると次第に効かなくなる「耐性」の問題があります。その場合には、別の抗癌剤に切り替えますが、この繰り返しが続くと、次第に使用できる治療薬がなくなってしまいます。

卵巣癌経験者やその家族等は、欧米で標準的な抗癌剤の日本での早期承認を求めています。


卵巣癌治療薬の日米承認状況
薬剤名 米 国 日 本 日本での他の癌治療承認状況
カルボプランチ 89年 90年 子宮頸癌、肺小細胞癌など
パクリタキセル 92年 97年 非小細胞肺癌、乳癌、胃癌など
ドキシル 99年 未承認 カポジ肉腫
トポテカン 96年 未承認 小細胞肺癌
ジェムザール 06年 未承認 非小細胞肺癌、膵臓癌、胆道癌など


[朝日新聞]