胃癌 - 除菌で予防

胃癌で、年に約5万人が亡くなります。胃に取り付いて炎症を起こす細菌(ピロリ菌)が原因と指摘されています。
菌を取り除く治療は、一部が公的医療保険の対象になっており、薬で除菌して予防する為の外来を設ける医療機関が増えています。

私立大で経理課長をしている男性(47歳)は、2年前、お腹がすく度に胃が痛むようになりました。昼食から深夜まで何も食べずに仕事をする事もざらでしたが、痛みを市販の胃薬で凌いでいました。半年後に内視鏡検査をすると、モニターに胃潰瘍が映っていました。

「ピロリ菌、いるね。除去しましょう」と、医師に言われて胃潰瘍の薬物治療と並行して除菌を始めました。1日2回、菌を遣っ付ける抗菌剤を、1週間毎日飲む事になりました。
2ヶ月後の再検査、胃壁は綺麗なピンク色で、爛れも凹凸も無くなっていました。「胃癌の心配が大きく減ったのは良かった」と、男性は話します。

ピロリ菌と胃癌との関係は、2年前に発表された浅香正博北海道大教授(消化器内科)の論文が根拠となっています。早期胃癌の患者で、内視鏡で癌を除去した後に胃から菌を除いた人は、除去しなかった患者に比べて、胃癌発生リスクが3分の1になったという研究結果で、国内の約500人のデータを基にしています。

ピロリ菌は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になるという証明は以前にされており、10年前から、除菌治療は公的医療保険の適用が認められています。
それが今年6月、悪性リンパ腫の胃MALTリンパ腫、難病の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、それに早期胃癌の患者で内視鏡治療で癌を取り去った患者の再発防止に対象が広げられました。

浅香教授は、「癌の再発予防に医療保険が使える意義は大きい」とし、今後は胃癌予備軍である慢性胃炎患者に適用される事を期待しています。
日本ヘリコバクター学会は、平成21年、ピロリ菌感染者全員に、除菌を勧める指針を発表し、保険診療外で除菌出来る専門外来などがある施設を学会のWebサイトで紹介しています。

[朝日新聞]