EGFR遺伝子変異検査で変わる肺癌治療

強い副作用(肝機能障害や死亡率の高い間質性肺炎など)、癌の縮小や呼吸困難の改善などのように、EGFR-TKIは、特に危険性と効果を考慮すべき薬です。
従って、EGFR遺伝子変異を調べる事によって、EGFR-TKIの投与に適した患者を選んで治療していく事が重要である事が分かります。

EGFR遺伝子変異検査を行う為には、肺癌の組織を採る事が必要になります。通常、肺癌と確認(確定診断)する為には、組織や細胞を顕微鏡で検査して癌細胞があるかどうかを確認する事が必要なので、この時に余った部分を遺伝子変異を調べる為の検査に回せば患者にとって新たな負担が増す事はありません。また、保険診療でカバーされていますので、3割負担の方でも6000円程で検査が可能です。

最近の研究では、EGFR遺伝子の他に、ALK遺伝子やHER2遺伝子の異常が原因となっている肺癌も、それぞれの異常に対応した薬を使った治療をする事で大きな効果が得られる事が示され、近い内に日常診療に使われるようになる事が期待されています。

このように遺伝子変異によって治療を選ぶ事が出来る肺癌は、未だ肺癌全体の半数程度ですが、今後も少しずつ増えていく事でしょう。
ほんの最近までは、肺癌は一つの病として治療されてきましたが、ここ5年でかなり様相が異なってきました。そして、これらの努力が最終的には、肺癌の死亡者の減少に繋がっていくと期待されています。