PET検診が治療方針を大きく左右

PETは、治療方針を決めるのに大きな役割を果たしてきました。米国のグループの2008年の報告では、同国の高齢者医療保険制度のもとでPET検査を受けた約3万5千人の癌患者の内、38%で検査後の治療方針が変わっていました。
この内、30%の患者は検査前に「治療不可能または不要」と判断されていたのですが、PET検査後は治療する方針に。逆に8%は検査後、治療不可能または不要と判断されました。

PETの有効性を研究する寺内隆司・国立がんセンター特殊検診室長によると、PET検査で治療が改善し、寿命が延びたという統計データはありません。ですが、「助かる可能性のある人が新たに見つかるのは確か」と指摘します。

逆に「助からない」と分かる事もあります。寺内さんは「可能性の無い治療で苦しむより、人生を最後まで充実させる選択肢が生まれる」と話します。

最近は、抗癌剤の効果確認にも、PETは注目されるようになってきました。特に期待されるのが、分子標的薬という新しいタイプの薬です。
分子標的薬は、正常細胞に影響が無いよう、癌細胞の増殖だけを阻害し、副作用を抑える事を狙った薬です。
但し、癌細胞そのものを殺す効果は少ない為、従来のタイプより癌が縮小し難くなります。このため、形状を見るだけの画像検査では効果が分かり難いのですが、癌細胞の活発さを見るPETなら評価しやすいのです。

「より早い効果の確認で患者に適した治療に早く移ることが出来る」と独協医大の村上康二教授は語ります。