見直されるPETの検診力

PET(陽電子放射断層撮影)は、数年前に「夢の検診法」として関心を集めました。健康な人の癌を見つける検診目的でPETは急激な増加を見せましたが、最近は、治療方針の検討や化学療法の効果を確かめる手段として、重要性が高まっています。患者や家族が正しい知識を持ち、医師にPET検査の受診を相談する事が大切です。

2009年1月、独協医大病院でPET検査を受けた宇都宮市の主婦(57歳)は、医師に示された画像の所々に、癌を示すオレンジ色の部分が見えた事に唖然としました。
乳癌再発に加え、全身の骨や肺、リンパ節に転移していました。通っていた県内の他の病院では、「癌は無い」とされていました。

彼女は、2005年、乳癌で左乳房を切除。その後も定期的に検査を受け続けていましたが、当時の病院ではPET検査はなく、再発や転移は見つかっていませんでした。
再発が分かってからは、薬剤治療が効いて、今夏には、癌が骨の一部に残るだけ迄に縮小。「前の病院はPETを勧めてくれなかったが、思い切って独協医大を訪ねて良かった」と話します。

X線など、他の画像検査で分からない癌がPETで見つかるのは、体内の組織の形を見るのではなく、細胞の糖分消費の活発さを調べるためです。癌細胞は盛んに成長するため、通常の細胞よりもエネルギー源になる糖分の消費が多い。
検査では、放射線を出すブドウ糖の試薬を受診者に注射し、PET機器で放射線を測定して、その多さによって体内の何処でブドウ糖が多く消費されているかを見ます。


[朝日新聞]