肺癌の正しい診断、最善の治療

○肺癌の最初の検査は、「癌の存在を調べる検査」です。

先ず、「胸部X線写真」で画像診断を行います。レントゲンに影が出ている場合や、出ていなくても症状やリスク因子が有り、必要な場合には「胸部CT検査」を行います。

CT検査は死角になる部分が少なく、小さな異常影の検出にも有用ですが、良性悪性の区別が難しい事も有ります。他に、「喀痰細胞診」や「腫瘍マーカー」などの検査が必要に応じて行われます。

○これらの検査で肺癌が疑われた場合、実際に病変の細胞や組織を採って顕微鏡で調べる「診断確定のための検査」に進みます。
「気管支鏡検査」は、内視鏡を口から挿入し、気管支の組織や細胞を採取します。

直視下やX線透視下で見えない場合や病変に到達しない場合は、X線やCTを見ながら皮膚に針を刺して細胞や組織を採る「径皮針生検・CTガイド下肺針生検」や、胸に3ヶ所程小さく開けた穴から器具を入れて胸腔内の組織を採る「胸腔鏡下肺生検」などが行われます。

○その結果、肺癌と診断されたら、「病期診断のための検査」に入ります。CT検査やMRI検査、PET検査などで全身検査を行い、原発巣の大きさや広がり、リンパ節転移はないか、遠隔転移はないかを調べます。この三つの因子により癌の進行をⅠ~Ⅳ期に分類し、この結果から治療方針の決定を行っていきます。

○更に最近では、「EGFR遺伝子変異の検索」が注目されています。これは、癌の増殖や転移などに関わる上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子に異変があるかどうかを調べる検査で、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(分子標的薬)の効果を予測することが可能です。

特定の部位に変異がある場合にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤が効きやすく、日本人の約30%にこの変異があるので、治療方針を決める上で非常に有用な検査と言えるでしょう。