現治療法で限界がある肝細胞癌患者にソラフェニブ

国内の肝細胞癌の新規患者は、年間で推定3万5千~4万人。腫瘍の大きさや数などによって推奨される治療法が変わります。腫瘍の数が少なく小さい時は、切除手術や局所療法が選ばれます。

局所療法は、腫瘍にラジオ波やマイクロ波を当てたり、アルコールを注入したりして直接攻撃する方法です。抗癌剤を腫瘍に向けて注入する方法もあります。

ソラフェニブ(商品名ネクサバール)は、元々腎臓癌の薬として作られました。肝細胞癌での効果が報告され、日本では2009年5月に承認されました。今のところ、これまでの治療法で限界のある患者だけに使えます。

薬代は1ヶ月7万円程で、製造販売元のバイエル薬品によると、11月4日現在で2017人が使用の登録をして治療していると言います。

近畿大の工藤正俊教授(消化器内科)等は、6月の日本肝臓学会でソラフェニブの有効性について発表しました。平均62.5歳の患者18人に使用し、1人が完全に癌細胞が無くなり、3人が3割以上縮小したと言い、「肝機能が良い人には非常に効果がある」と話しています。

癌を大きくさせない為の薬と言い、「今のところ完治は国内で数例で、全員に効く訳ではないが、延命効果はある。新しい治療法として注目されている」と期待します。

切除手術や局所療法の後、再発防止の効果を探る治験も進行中です。工藤教授は、「有効と証明されれば、全体の6割の患者に使う事が出来るのではないか」と期待しています。

 

肝細胞癌の主な治療選択
他の臓器への転移
無し 有り
肝機能
× ×
周囲への広がり    
無し 有り
 
1~3個 4個以上
大きさ  
3cm以下 3cm超
治療法




 







 

























































+α ソラフェニブ
再発防止等について治験中
 


  出典 朝日新聞