抗癌剤選びの遺伝子検査 - まだまだ保険適用外

肺や大腸、婦人科の癌などで幅広く使われている抗癌剤に「イリノテカン」があります。効果が評価される一方で、白血球の減少や下痢といった副作用も出やすく、副作用が疑われる死亡例が臨床試験中だけで50人余り出ました。

イリノテカンで強い副作用が出やすいかどうかは、生まれつきの遺伝子の特徴で、ある程度決まっている事が分かっています。その体質を調べる検査薬が2008年秋に保険適用を受け、09年春から全国で利用できるようになりました。

お酒に強かったり、弱かったりするのがお酒を分解する酵素の遺伝子の違いで決まっているように、UGT1A1という主に肝臓で働く酵素の遺伝子タイプによって、副作用の出方が大きく違います。検査薬は患者の血液を使い、この遺伝子タイプを調べます。

これまでの研究では、酵素の働きが弱いタイプだと重い白血球減少が8割程の確率で起きる事が分かっています。強いタイプなら2割弱程に留まると言います。

副作用の出やすさは、患者の年齢や肝機能などによっても違います。名古屋大病院化学療法部の安藤雄一准教授は「検査で酵素の働きが弱めだと分かれば、他の情報と併せて薬の量を減らしたり、使用自体を止めたりする事を考えます」と言います。

検査の費用は2万円。一般的な3割負担だと、患者が支払うのは6千円になります。

 

抗癌剤の個別化治療の進め方
手術などで
取り出した癌細胞
患者から
採取した血液
癌に特有の
遺伝子情報が対象
生まれつき持っている
遺伝子情報が対象
白血球などは除く
遺伝子情報を分析
結果に応じた治療の選択
●効果が期待できない薬の使用をしない
●使う薬の量を変更


  出典 朝日新聞