国立がんセンター診療支援情報室(東京)の濱島ちさと室長は、「子宮頸癌検診は、確実に実施すれば死亡率を大幅に減らせる」と強調します。
名古屋大などの研究グループの報告(2006年)に拠ると、国内45市町村で1988年~2003年の間、受診者と未受診者の計約6万人の子宮頸癌による死亡率を比較した結果、受診者の死亡率は、未受診者より7割も少なかったようです。
受診の継続も大切です。濱島室長によると、検診の効果は3~5年に1度受診する人に認められ、国は2年に1度の受診を推奨しています。
適切な検体の作成が、検診の成功には欠かせません。しかし、細胞の採取法が、検査の精度に関わる事が問題視されています。
新潟県新発田市の検査機関、下越総合健康開発センターの細胞検査士、赤松節さんは「綿棒を用いた検診は要注意だ」と指摘します。
赤松さんは、2005年~2006年にかけ、新潟県内で行われた検診で、液状検体法という方式で作られた約5万点の検体について調べました。その結果、「専用ブラシ」で細胞を採取したケースでは、検体に含まれる細胞の数が、欧米で多く用いられる国際基準を満たさなかった割合は0.6%に留まりました。これに対して、綿棒では5.8%と約10倍に上りました。
基準に満たない検体では、癌の兆しを発見できない危険が高まります。日本産婦人科医会は2008年、細胞診の基準に、検体として適切かどうか判断するための国際基準の導入を決めました。
しかし、検診に関わる医師等によれば、「専用ブラシ」ではなく綿棒が使われるケースは今も尚多い。綿棒が1本数円なのに対し、ブラシは100円程度のため、コスト面で嫌われるようです。
赤松さんは、「受診する医療機関を決める際、検査方法を聞いて綿棒でないかどうかを確かめるのも、賢い受診方法かもしれません」と話しています。