癌になったと告げられた患者は、治療や家族の負担はどうなるのかなど、分からない事だらけなのではないでしょうか。国は2007年度から各地の拠点病院に、情報提供や相談に応じる「がん相談支援センター」を整備するなどの対策をしてきました。
四国がんセンターでは、院内のがん相談支援センターが旗振り役で、情報の提供漏れが無い体制を作っているのが特徴だと言います。
先ず、入院した時点で相談支援センターが退院後の生活の希望やそれを支える家族状況を把握。それに基づき、治療の進展に応じて、担当医や看護師が退院後の生活に向けた情報提供や相談を始めます。
退院が決まれば、相談支援センターが退院後の掛かり付け医を探すなどの作業を患者や家族と一緒に進めます。患者と家族、担当医、退院後の担当になる医師等との打合せ会も開きます。
相談支援センター長を務める谷水医師は「治癒する場合も緩和に移る場合も、最終目標は自宅で生活すること。だから、入院当初から退院後を見据えた情報提供をする仕組みに力を入れた」と話します。
相談支援センターは2007年4月、国の指針改定で、各地のがん診療連携拠点病院に、設置が義務付けられました。対象者は、通院患者や他の病院に通う患者も含まれます。
県立静岡がんセンターは、指針改定前から院内に「よろず相談」と名付けた相談支援センターを設置。年間1万件を超す院内外からの相談を受け付け、患者の満足度を探ってきました。
2006年度は通院患者の約3割が利用し、52%が気持ちの落ち着きや問題解決に「役立った」と答え、「まあ役立った」という人を含めると約80%が相談した事に肯定的な感想を抱いていました。
相談内容は、病期そのものについての質問から、「主治医と馬が合わない」など様々。患者支援の研究担当、石川睦弓看護師は「同じ容体の患者でも、提供すべき情報は同じではない」と言います。
[朝日新聞]