子宮頸癌の検診は、きちんと受け続ければ高い効果が期待できますが、全国の受診率は2割程度と低いのが現状です。国は受診する人を増やそうと、子宮頸癌と乳癌の検診が無料となるクーポン券の配布を行っています。
子宮頸癌の検診は、膣の奥にある子宮の入り口付近を、医師が専用のブラシなどで擦って細胞を採取。細胞を薬品で処理した検体を検査士が顕微鏡で観察し、癌になりかかっている「異形成」の細胞の有無を点検する方法です。
正常な細胞が癌細胞になる際、細胞の形が変わったり、細胞核の数が変わるなど、段階を経て変化します。この途中の段階を異形成と言い、「軽度」、「中等度」、「高度」に分類されます。
軽度と中等度は、8割以上が正常に戻るとされ、経過観察となります。高度なら、癌に進行する恐れが高いので、子宮の入り口の一部を切除する「円錐切除術」をするのが一般的です。
日本婦人科腫瘍学会の子宮頸癌治療ガイドライン作成に副委員長として加わった八重樫伸生・東北大学教授は、「円錐切除の場合、術後半年も経てば性生活を再開できるし、妊娠・出産にも支障はない。ただ、病状が進むとそうとも限らない」と言います。
現在、円錐切除が出来るのは、子宮の上皮で生まれた癌細胞が、内部に浸潤し始める極最初の時期までです。それでも、癌を見落として切り残す恐れがあります。基本的に浸潤癌に進行した場合、子宮を全摘出する事になります。
近年、初期の浸潤癌では、子宮の下半分を切除し、上半分と膣を繋ぐ方法で、妊娠する能力を残す術式も始まっています。しかし、「再発率や妊娠の安全性の証拠になるデータは集まりきっていない」とし、「出来るだけ早く癌を見つける事が最良の策だ」と、八重樫教授は強調します。