前立腺癌はどういう病気か

近年、前立腺癌は急増しており、2020年には罹患率が日本の男性における部位別癌の中で、肺癌に次いで第2位になると予想されます。しかし、前立腺癌の進行は比較的ゆっくりで、効果的な治療法も多い為、早期に発見し治療を行えば完治が期待できる病気です。

前立腺は精液の一部である前立腺液を分泌する臓器です。膀胱の下にあり、中を尿道が通っています。前立腺は年齢と共に大きくなり、50歳以降は、一層大きくなる傾向が見られます。

平均寿命が延び、食生活など環境因子が変化している事に加え、診断法の進歩で発見が容易になった事もあり、日本の男性における前立腺癌の罹患率は急速に高まっています。前立腺癌の罹患率は高齢になる程高く、発見される平均年齢は70歳前後と言われます。

前立腺癌が発見されるきっかけとして、「排尿症状」で泌尿器科を受診した、或いは「腰痛」などで整形外科を受診したら前立腺癌の骨転移だったといった事もありますが、近年は検診により無症状の状態で発見される人が増えています。

症状が無いのに、癌を見つける指標となるのがPSA(前立腺特異抗原)の値です。
本来、血液中のPSAは微量ですが、前立腺の病気になると高い値を示します。PSA値が「5」であれば「約20%」、「10」であれば「30%強」、「50」を超える高い値であれば「90%以上」の確率で前立腺癌が発見されます。

前立腺癌の疑いがある場合の検査方法として、PSA検査の他、直腸診(触診)、超音波(エコー)検査があります。いずれかで異常が認められた場合、前立腺生検で確定診断を行います。

生検で癌が検出された場合、病期診断を行い治療に入ります。また、生検で癌が検出されなくても、半年或いは1年に1回はPSA検査が必要です。

 

PSA値と前立腺癌発見率
PSA値(ng/ml) 前立腺癌発見率
2~4 6%
4~6 20%
6~10 28%
10~15 35%
15~20 42%
20~30 53%
30~40 75%
40~50 86%
50~100 97%


  出典 前立腺研究財団編:前立腺がん検診テキスト