前立腺癌 - 適切な治療が何よりも大切

前立腺の2大疾患には、「前立腺癌」と「前立腺肥大」があり、症状はよく似ています。

肥大症は前立腺の内腺(尿道を取り巻く部分)に発生し、尿道の閉塞に伴って「残尿感」や「頻尿」、「尿線が細くなる」などの症状が出やすくなります。

前立腺癌は、前立腺の外腺(内腺の外側)に発生することが多いため、早期は「無症状」です。癌が前立腺内に留まっているうちは、症状はほとんど出ないのですが、進行して広がると症状が現れてきます。

日本では、前立腺癌で亡くなる人が右肩上がりに増えています。2000年の死亡者数は、7514人で、20年には約2万人になると予想されています。
米国では、前立腺癌になる人は非常に多いのですが、死亡者数は減少傾向にあります。これは採血だけで前立腺癌の可能性を調べられるPSA検診が広く普及し、早期診断に伴って進行癌が減ったためと考えられています。

日本では、PSA検査が導入される約15年程前までは、前立腺癌の患者の半数以上は、転移した状態で見つかっていました。しかし、近年では、PSA検診が普及している地域では、早期癌として6~7割の人が発見されるようになってきています。
全国的には今でも、3割の人が、転移癌で発見されていると言われています。

前立腺癌の発症を抑える有効な予防法は、今のところありません。

尚のこと、早期発見・適切な治療が重要になります。PSA検診のメリット、デメリットを正しく判断し、前立腺癌で命を落とす人が増えている現状をよく理解して、PSA検査を受ける事が重要です。


メリット:
 前立腺癌の早期発見
 早期発見により、治療の選択肢が増え、完治の可能性を高める
 PSA検査は、内科や泌尿器科で受けられる

デメリット:
 異常値によるPSA再検や最終診断のための生検が必要になる
 生検による発熱や出血などの合併症が極稀に生じる