2009年5月アーカイブ

癌予防と生活習慣

1年間に、日本国内で新たに癌と診断される罹患者は、男性で約34万人、女性で約25万人と言われています。

厚生労働省研究班などの疫学調査の評価(結果)によると、この内のかなりの部分が「生活習慣で予防」できそうな事が分かってきました。
癌と生活習慣との関係につては、国際機関も報告書を出していますが日本と結果が一致しない事もあるようです。日本人にとって確実とされる生活習慣を見直すことが、癌予防の近道かもしれません。

例えば、今や常識とされる「飲酒」と「大腸癌」の関係。

 飲まない人に比べ、日本酒換算で1日2合以上飲む男性は大腸癌になるリスクが2倍、4合以上で3倍になるのだとか。


厚労省研究班では、生活習慣と癌がどれぐらい関係しているか、癌の部位別に「確実」、「ほぼ確実」といった評価をしているようですが、癌のリスクを高めるだけではなく、リスクを減らす生活習慣もあるそうです。

リンパ浮腫

リンパ管の働きが低下し、皮下組織に体液が過剰に溜まり手足などがむくむ病気。
多くは乳癌や子宮癌などの手術の後遺症で発症するが、生まれつきや怪我の影響の場合もある。

国際的な標準治療は、

 ①スキンケア
 ②リンパドレナージ(リンパの流れをよくするマッサージ)
 ③専用のストッキングや包帯を使う圧迫療法
 ④圧迫したまま体を動かす運動療法

の四つを組み合わせる。

注)リンパドレナージは、1回5千円~1万円程度かかるが、保険が利かない。

[朝日新聞]

肺癌の進行度

治り難いとされてきた肺癌ですが、適切な検査と最新の治療技術によって、治療効果が飛躍的に向上してきました。

・肺癌の病期

 Ⅰ期.癌はあるが、リンパ節や他の臓器転移がない場合。(最大径が3cm以下かどうかでA・Bに分ける)

 Ⅱ期.癌と同じ側の肺内の、癌に近いリンパ節に転移があるものの他臓器には転移していない場合。(最大径が3cm以下か否か、などでA・Bに分ける)

 ⅢA期.もう少し転移が広がっているが、原発巣とさらに同じ側の縦隔のリンパ節への転移にとどまっている段階。

 ⅢB期.反対側の肺のリンパ節や鎖骨の上のリンパ節に転移がある場合や胸水がたまった場合。また、癌が心臓や肺の血管の根本まで広がっている場合。

 Ⅳ期.原発巣のほかに肺の他の場所、あるいは他の臓器に転移のある場合。

肺癌の種類

・肺癌の特徴的な症状

 癌のできる場所によって初期症状が異なります。
  中心型(肺の入り口の太い気管支にできる)は、比較的早期から咳や血痰が出る。
  抹消型(肺の隅にできる)では、殆ど無症状。

・肺癌細胞の特徴

 1.腺癌
   肺癌の中で最も多い・肺の実質にでき易い
 2.扁平上皮癌
   煙草に関係・肺の入り口にでき易い
 3.大細胞癌
   それ以外のもので、大きな細胞からなる
 4.小細胞癌
   小さな細胞が密集して広がるもの・進行してから見つかることが多い

疫学調査

多くの人たちを対象として、病気などの原因を調べる手法。

厚生労働省研究班では、全国の住民に生活習慣を尋ね、その後の様子を10年程度追跡。病気の発症状況などのデータから、「煙草を吸っている人は、吸っていない人よりも癌になりやすい」などと判断する。


参考:
 個々の調査結果を基に、生活習慣の改善による癌の予防法を評価するWebサイト

 http://epi.ncc.go.jp/can_prev/


[朝日新聞]

ピロリ菌の除菌で胃癌予防に期待

胃の粘膜の中にいて胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを起こす、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、日本に住む人の半分が感染しているとされる細菌で、感染すること自体が「ヘリコバクター・ピロリ感染症」という病気です。

2009年1月、日本ヘリコバクター学会は、ピロリ菌除菌が胃癌などのリスクを下げることに繋がるとして、ピロリ菌感染者全員に除菌を勧める指針(ガイドライン)を発表しました。

昨年、英医学誌ランセットに論文を発表した、同学会理事長で北海道大学の浅香正博教授(消化器内科)は、除菌によって早期治療患者の胃癌(二次胃癌)リスクが三分の一となるなど、「胃癌の原因の多くがピロリ菌による感染症であることがはっきりした。感染者に除菌をすれば、将来、胃癌で亡くなる人を大幅に減らす事ができる」と話します。

しかし、公的医療保険でピロリ菌除菌が認められているのは、胃潰瘍か十二指腸潰瘍の患者に限られているため、胃癌予防のための除菌が中々進まないのが現状のようです。