胃の粘膜の中にいて胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを起こす、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、日本に住む人の半分が感染しているとされる細菌で、感染すること自体が「ヘリコバクター・ピロリ感染症」という病気です。
2009年1月、日本ヘリコバクター学会は、ピロリ菌除菌が胃癌などのリスクを下げることに繋がるとして、ピロリ菌感染者全員に除菌を勧める指針(ガイドライン)を発表しました。
昨年、英医学誌ランセットに論文を発表した、同学会理事長で北海道大学の浅香正博教授(消化器内科)は、除菌によって早期治療患者の胃癌(二次胃癌)リスクが三分の一となるなど、「胃癌の原因の多くがピロリ菌による感染症であることがはっきりした。感染者に除菌をすれば、将来、胃癌で亡くなる人を大幅に減らす事ができる」と話します。
しかし、公的医療保険でピロリ菌除菌が認められているのは、胃潰瘍か十二指腸潰瘍の患者に限られているため、胃癌予防のための除菌が中々進まないのが現状のようです。