2007年のがん対策推進基本計画により、都道府県と地域のがん診療連携拠点病院(375)に「緩和ケアチーム」を置かなければなりませんが、院内で緩和ケアへの理解を得られず悩むチームは少なくありません。
主治医が「痛みのコントロールは必要ない」と拒む場合もあります。
緩和ケアを広める為、厚生労働省は、基本計画で「癌医療に関わる医師は全て研修等により、緩和ケアの基本的な知識を習得する」と掲げています。研修は2日間。研究班や学会が作成したプログラムを参考に、拠点病院や都道府県が開きます。
患者への「悪い知らせ」の伝え方や癌患者が療養する場の選択、地域連携などについて学びます。
厚労省は、都道府県への助成として今年度は2億5千万円の予算をつけました。計画から5年で、癌医療に関わる医師10万人(目安)に受けてもらう計画ですが、実際に受けたのは、昨年度からの約1年間で3730人でした。
専門家も不足しています。厚労省が2008年、拠点病院に調査した結果、「チームに緩和ケアの知識・技能のある常勤の専従看護師がいる」と答えたのは、約58%に留まりました。
厚労省は、チームの詳しい活動指針は出しておらず、チーム作りの進め方は手探り状態で、支援が求められています。
国立がんセンターは2007年から、緩和ケアチームの研修会を開催。2年間で128チームが参加、今年は64チームが参加の予定です。研修を企画する筑波大の木沢義之医師(緩和ケア)は、「地方では、必要なスタッフを確保できない」「緩和ケアの経験が少なく、チームをどう運営するか分からない」といった悩みを参加者から聞いていると言います。
日本緩和医療学会理事の蘆野吉和・十和田市立中央病院院長は、「チームの質にばらつきがあるが、まだ指標がなく評価は難しい」と話します。学会としては、2009年度中に、十分に活動出来ていないチームを対象に研修を始め、支援をします。
日本ホスピス緩和ケア協会理事長の山崎章郎医師は、「チームは本来、癌治療の早期から看取りまで、切れ目ないケアを提供するもの。転院や退院をせざるを得ないなら、地域の在宅医や訪問看護などとの連携が重要になる」と話しています。