癌緩和ケア - チームで支援

専門医や看護師、薬剤師らが、主治医と協力しながら癌患者や家族を支える「緩和ケアチーム」は、心身の痛みを和らげ、困った事に対応し、患者の生活の質(QOL)を上げるのが目的で、全国のがん診療連携拠点病院に設置されました。

活動を広めるため、緩和ケアの専門家を育てる研修会が開かれ、患者に情報を提供する態勢作りも始まりました。

2007年に開かれ、地域がん診療連携拠点病院に指定された埼玉医大国際医療センターの緩和ケアチームは、毎週火曜日にカンファレンスを開きます。

癌患者は、身体や精神症状の治療だけでなく、食事など生活面の支援も必要になります。主治医だけでは対応できない、患者と家族の様々なニーズに応えるのがチーム医療です。
メンバーは、医療用麻薬などで患者の痛みを和らげる緩和医療科と心のケアをする精神腫瘍科の医師、薬剤師、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士なども加わり、癌患者の様子を報告し合い、情報を共有します。

悩みを抱える患者がいた場合、主治医がチームに支援を依頼する仕組みになっており、依頼を受けると、チームの看護師が、患者の担当看護師や主治医から情報を集め、可能なら患者を訪ねて話を聞きます。

内容に応じて緩和医療科の医師が必要な薬をカルテに書き、主治医がそれに基づいて処方します。鬱や不眠には精神腫瘍科の医師が対応します。他に多いのが転院や住宅への移行で、ソーシャルワーカーが支援します。栄養士は患者の食欲を確かめ、よく食事が取れない患者の相談に乗ります。

活動は盛んですが、主治医の理解や信頼を得るのが課題のようです。

癌の病棟は約300床ありますが、依頼は年間40~70件。緩和医療科の奈良林至教授は、「主治医が緩和ケアの必要性を理解し、チームに依頼してくれなければ、患者の苦しみがそのままになってしまいかねない」と指摘しています。


[朝日新聞]