乳癌検診 マンモかエコーか? 自治体で差

国が乳癌のマンモグラフィー検診を推奨する中、エコー検診のみを実施している自治体が11あります。
「マンモより癌発見率が高い」という理由ですが、検診により「死亡率が下がる」というデータはありません。

エコー検診のみ実施している東京都江戸川区では、国の無料クーポン券配布に合わせて、クーポン券持参者のみマンモグラフィー検診を始めました。

国は平成16年に、40歳以上を対象に2年に1回、マンモと視触診の併用検診が適当とする指針を出しました。しかし、江戸川区は平成2年度以降、30歳以上を対象に毎年、エコー検診だけを実施。

マンモでは「乳腺」も「凝り」も白く写ります。

エコーは乳房断面の画像を撮る為、マンモで確認し難い凝り状の癌を見付け易い一方で、マンモでは見付け易い砂粒が集まったような形状の癌は見付け難くなります。

★エコーの発見率は平均以上と江戸川区

国は今年度、受診率向上の為、40、45、50、55、60歳の女性にマンモグラフィー検診が無料で受けられるクーポン券を配布しました。このままでは、区民がクーポン券を使えないと、江戸川区は昨年9月、約3300万円で最新のデジタル・マンモ装置を導入しました。

同区の40歳以上の女性は約16万人いますが、クーポン券の対象は約2万2千人で、残りの区民は従来通り、エコー検診の対象になると言います。

マンモグラフィー検診を実施しない理由について、江戸川区医師会の玉城繁副会長は、「うちの区のエコー検診の精度は高い」と主張します。検診は、専門の訓練を受けた技師6人が担当。平成19年度の同区の乳癌発見率は、0.49%で、マンモが主体の全国平均の0.27%を上回ると説明します。

玉城副会長は、「"マンモは痛い"と敬遠する人も多い。ただ今後は、マンモグラフィー検診のデータも積み上げ、年代による発見率などを比較し、検診のあり方を検討したい」と話します。


[朝日新聞]