厚生労働省は、2007年9月、40歳代の女性12万人を対象に、「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」を立ち上げました。
乳癌は女性が罹る癌の第1位であり、30~60歳代では全ての癌の中で乳癌の死亡率がトップとなっています。特に40歳代で乳癌を発症する女性が急増しており、より良い乳癌検診の開発が急務とされています。
現在の乳癌検診は、マンモグラフィ検査(乳房エックス線検査)が基本とされており、40歳以上の女性は2年に1度のマンモグラフィ検診を受ける事を、国が指針として出しています。
しかし、マンモグラフィは、「高濃度乳房」と呼ばれる乳腺密度が高い乳房では、検査精度が低くなります。日本人に多く見られる乳房に乳汁を作る組織の詰まっている40歳代女性の場合だと、癌を見落とすケースが少なくありません。
超音波検査は、40歳代の女性でも癌を発見する能力が高いとされ、都市部の検診機関などで導入する動きも目立っていますが、有効性を裏付けるデータが十分ではありません。
厚生労働省の計画では、
・対象者を6万人づつ、マンモグラフィ検診のみと、マンモグラフィと超音波検査を両方受診する2組に分けて比較。
・受診者を追跡調査し、乳癌の罹患率、死亡率、その他の病気による死亡率なども総合して、有効性を評価。
・検証期間は4年間で、効果が実証されれば、現場への導入推進を検討する。
のようです。