2009年2月アーカイブ

厚生労働省は、2007年9月、40歳代の女性12万人を対象に、「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」を立ち上げました。

乳癌は女性が罹る癌の第1位であり、30~60歳代では全ての癌の中で乳癌の死亡率がトップとなっています。特に40歳代で乳癌を発症する女性が急増しており、より良い乳癌検診の開発が急務とされています。

現在の乳癌検診は、マンモグラフィ検査(乳房エックス線検査)が基本とされており、40歳以上の女性は2年に1度のマンモグラフィ検診を受ける事を、国が指針として出しています。

しかし、マンモグラフィは、「高濃度乳房」と呼ばれる乳腺密度が高い乳房では、検査精度が低くなります。日本人に多く見られる乳房に乳汁を作る組織の詰まっている40歳代女性の場合だと、癌を見落とすケースが少なくありません。

超音波検査は、40歳代の女性でも癌を発見する能力が高いとされ、都市部の検診機関などで導入する動きも目立っていますが、有効性を裏付けるデータが十分ではありません。

厚生労働省の計画では、

 ・対象者を6万人づつ、マンモグラフィ検診のみと、マンモグラフィと超音波検査を両方受診する2組に分けて比較。
 ・受診者を追跡調査し、乳癌の罹患率、死亡率、その他の病気による死亡率なども総合して、有効性を評価。
 ・検証期間は4年間で、効果が実証されれば、現場への導入推進を検討する。

のようです。

癌死亡率、都道府県別で格差大

厚生労働省の調査によると、2007年の75歳未満の癌死亡率は、最も高い青森県が103.7、最も低い長野県が72.7で、その差が31ポイントとなっている事が、分かりました。

癌死亡率は、人口10万人当たりの癌による死亡者の割合で、全国平均は88.5と前年より1.5ポイント減少。男性は116.4で前年より1.9ポイント、女性は63.2で前年より1.1ポイント減少しました。
全国的に癌死亡率は下がる傾向にありますが、10県は前年を上回ったようです。

都道府県別で、高齢化率の違いが影響しないように調整した結果、青森県が4年連続でワースト1位。長野県は1995年以来13年連続でベスト1位でした。

前年を上回ったのは、神奈川県、新潟県、福井県、滋賀県、鳥取県、島根県、香川県、愛媛県、佐賀県、長崎県の10県。


・都道府県別癌死亡率
 ワースト5
 1.青森県  103.7
 2.佐賀県  100.6
 3.和歌山県  97.4
 4.大阪府   97.3
 5.鳥取県   96.2

 ベスト5
 1.長野県   72.7
 2.大分県   78.5
 3.岡山県   78.6
 4.熊本県   79.0
 5.沖縄県   79.0


・部位別ワースト癌死亡率
 肺癌  青森県
 大腸癌 青森県
 胃癌  新潟県
 膵臓癌 北海道
 肝癌  佐賀県


・いずれも、07年、人口10万人、75歳未満、厚生労働省調べ

厚生労働省の試算によると、喫煙者が病気で亡くなるリスクや疫学調査データなどをもとに、05年の死亡統計に当てはめて計算すると、年間死亡者108万4千人のうち、煙草関連の死亡者は、男性16万3千人、女性3万3千人。
05年時点の喫煙率は、男性39%、女性11%のため、煙草に関連した病気で死亡する人は、今後、男性で減り、女性で増えると予想されるそうです。

厚生労働省研究班(主任研究者、祖父江友孝・国立がんセンター部長)の調査で、煙草が原因で病気になり、死亡する人は、年間20万人近くに上ると見られる事が、分かりました。
研究班は、「健康対策として、増税を含めた煙草対策がもっと必要だ」と指摘しています。


煙草を吸って病気で亡くなるリスクを、吸わない人と比べると、

 男性では
 1.消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)7.1倍
 2.喉頭癌              5.5倍
 3.肺癌               4.8倍
 4.くも膜下出血           2.3倍

 女性では
 1.肺癌               3.9倍
 2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)   3.6倍
 3.心筋梗塞             3倍
 4.子宮頸癌             2.3倍

などのようです。

また、過去に喫煙歴がある人も含めると、男性の27.8%、女性の6.7%が、煙草に関連した病気で死亡していたそうです。


国内の4つの疫学調査:

1980年~90年代に40歳~79歳の男女約29万7千人に喫煙習慣などを尋ね、約10年間追跡。2万5700人が死亡していた。
喫煙率は、男性54%、女性8%