地域がん登録

癌を患う人は増えているのか、減っているのか、癌対策の基本となる情報、そんなデータを集める仕組みが癌登録です。
癌登録には、自治体による「地域がん登録」と病院による「院内がん登録」があります。

癌の予防や治療に向けた対策の要として、

 ・癌の種類
 ・癌の進行度
 ・年齢・性別
 ・治療内容と生存率
 ・癌患者数(罹患率)

などの情報が必要となります。

これらのデータが揃って始めて、治療成績などが把握できるようになります。
診療の質を測る物差しは、精密でないと意味をなしません。


国立がんセンターがん情報・統計部の祖父江友孝部長は、「癌の死亡率が高い地域では、もともと罹患数が多いのか、検診が出来ていないのか、治療に問題があるのか。癌対策には、癌登録が欠かせません」と強調します。

課題は個人情報保護。祖父江部長らが昨年実施した意識調査(対象者三千人)によると、個別の説明無しに登録される事でプライバシーが侵害されたと思う人は43%、一方で、地域がん登録が有益だと思う人は77%。


更に、地域がん登録が全国で実施されているわけではありません。

福島県、埼玉県、東京都、静岡県、長野県、三重県、奈良県、和歌山県、島根県、福岡県、大分県、宮崎県が未実施となっており、新たに癌を患う人の割合(罹患率)や癌患者が増えているのか、減っているのかは正確にはわかりません。

また、日本全体の罹患率、生存率などの把握や対策の活用にも少なからず影響が現れます。