子宮頸癌の新ワクチン臨床試験へ

子宮頸癌を防ぐ新ワクチンを国立感染症研究所が開発し、臨床試験に向けた準備を進めています。

子宮頸癌はウイルス感染で起きますが、欧米などで使われているワクチンは、特定の型のウイルスにしか効かず、日本人の子宮頸癌の半分程度しかカバーできません。新ワクチンは、幅広い型に対して効果がある可能性が高いそうです。

子宮頸癌は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染で、HPVは約100の型に分かれており、その内15種類の型が、癌の原因になります。

感染研の神田忠仁・病原体ゲノム解析研究センター長らは、15の型全てに共通しているウイルス表面の蛋白質に注目。この一部を切り取って、ワクチンとしてウサギに注射し、ウサギの血液中からウイルスの感染を防ぐ抗体を得ました。

日本人の子宮頸癌の9割は、7種類の型が原因で起こり、その内の6種類の型に有効でした。残りの1種類の型については試験中ですが、同様の効果がある可能性が高いと研究チームはみています。

これまでのワクチンは、各ウイルスの型特有の蛋白質を利用しているため、効果は2~4種類の型に限定されています。

この研究は、厚生労働省の第3次対癌総合戦略研究事業の一つで、製剤化ができ次第、関東の複数の大学病院と共同で臨床試験を始める予定です。